The Rock IS YOU

 するとひよめは頭からぷくりと水のなかにもぐりました。だんごがもらえるのをよろこんでいるようにみえました。
 けれど一年生たちは、ひよめにだんごをやりませんでした。学校へゆくのにだんごなどもっている子はありません。
 一年生たちは、それから学校にきました。
 学校では先生が教えました。
「みなさん、うそをついてはなりません。うそをつくのはたいへんわるいことです。むかしの人は、うそをつくと死んでから赤鬼に、舌べろを釘ぬきでひっこぬかれるといったものです。うそをついてはなりません。さあ、わかった人は手をあげて。」
 みんなが手をあげました。みんなよくわかったからであります。
 さて学校がおわると、一年生たちはまた池のふちを通りかかったのでありました。
 ひよめはやはりおりました。一年生たちのかえりを待っていたかのように、水の上からこちらをみていました。

 海蔵さんが人力曳きのたまり場へ来ると、井戸掘りの新五郎さんがいました。人力曳きのたまり場といっても、村の街道にそった駄菓子屋のことでありました。そこで井戸掘りの新五郎さんは、油菓子をかじりながら、つまらぬ話を大きな声でしていました。井戸の底から、外にいる人にむかって話をするために、井戸新さんの声が大きくなってしまったのであります。
「井戸ってもなア、いったいいくらくらいで掘れるもんかイ、井戸新さ。」
と、海蔵さんは、じぶんも駄菓子箱から油菓子を一本つまみだしながらききました。
 井戸新さんは、人足がいくらいくら、井戸囲いの土管がいくらいくら、土管のつぎめを埋めるセメントがいくらと、こまかく説明して、
「先ず、ふつうの井戸なら、三十円もあればできるな。」
と、いいました。

 春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。
 舟が出ようとすると、
「おオい、ちょっとまってくれ。」
と、どての向こうから手をふりながら、さむらいがひとり走ってきて、舟にとびこみました。
 舟は出ました。
 さむらいは舟のまん中にどっかりすわっていました。ぽかぽかあたたかいので、そのうちにいねむりをはじめました。
 黒いひげをはやして、つよそうなさむらいが、こっくりこっくりするので、子どもたちはおかしくて、ふふふと笑いました。
 お母さんは口に指をあてて、
「だまっておいで。」
といいました。さむらいがおこってはたいへんだからです。
 子どもたちはだまりました。
 しばらくするとひとりの子どもが、
「かあちゃん、飴だまちょうだい。」
と手をさしだしました。
 すると、もうひとりの子どもも、
「かあちゃん、あたしにも。」
といいました。